今回のお題は「ジャズミュージシャンが持っていると便利なもの」ということですが、正直言ってジャズを演奏していると荷物が軽くて済んでしまうような気がします。
特に軽くて済むのが楽譜関係。
ジャズ、特にスタンダードと呼ばれる曲の楽譜はだいたいシンプルゆえに紙一枚で終わってしまうことが多く、ジャムセッションに出かける場合は使用楽器一式とその楽譜(黒本1冊あれば十分)さえ持っていけば事足りてしまいます。
譜面台もたいていのお店には置いてあるし、なんだったら自分のレパートリー曲は覚えてしまえば荷物は楽器だけで十分ということになってしまいます。
しかしさすがにそれでは記事のネタにならないため、今回は半ば無理やりですがジャズミュージシャンが持っていると便利なものをひねり出してみたいと思います。
五線紙
ジャズのアドリブをマスターするために過去の偉人による演奏をトランスクリプション、ようは耳コピをすることはオーソドックスな手法です。
面倒だし時間もかかるしで僕もなるべく避けて通りたい作業なのですが、やはりどうしても気になる演奏に出会ってしまったときは楽譜に起こして実際に演奏してみることがあります。
とはいえ非常に億劫な作業……気になってはいても結局やらずじまいになってしまうことが多いのですが、そんな事を防ぐためにも僕は楽器ケースのポケットに数枚の五線紙を入れています。
五線紙といっても五線ノートを持ち歩いているわけではありません。
ネットで五線紙のpdfファイルが無料で手に入るので、それを自宅でプリントアウトしておくだけです。
そもそも五線紙って出先で手に入れようと思っても簡単には手に入りません(売ってても五線ノートだったり数十枚以上で売ってたり)。
そんな五線紙を数枚で良いので常に使えるようにしておくことで、今日はちょっと耳コピしてみよっかなーという気分になったときにすぐ取り掛かることができます。
ついでに言うと演奏の現場でちょっとだけ五線紙が必要になることもあるのですが、そういったときにもササっとかいて配ることができるので非常に重宝します。
クリップボード
五線紙に記譜するとき、クリップボードがあると綺麗に記譜することができます。
100円ショップですぐ買うことができるので一枚持っておくと便利です。
僕は自宅と教室に数枚置いてありますが、トランペットケースのスペースに余裕があれば常に持ち歩きたいくらいです。
カリグラフィーペン
僕が使ったことはありませんが、楽譜を書くのにこだわりのある方はカリグラフィーペンを使って音符を綺麗に書いてみるのも良いかもしれません。
カリグラフィーペン、もしくは写譜ペンと呼ばれるもので、太さのちょうど良さげなものを探してみるといいでしょう。
汚い楽譜はそれだけで演奏する気を削がれますからね。と自戒の念を込めつつ。
各種アプリ
一昔前まではチューナーやメトロノームなどはそれぞれ別々に購入する必要がありましたが、現在ではスマートフォンやタブレットの普及により、それらを一つのガジェットにまとめることができるようになりました。
いずれも有料のものと無料のものが存在しますが、僕はiReal Pro以外は無料で利用できるものを使っています。
iReal Pro
言わずと知れたアドリブ練習用アプリです。
アプリとしては少し値が張るのと、あまり依存しすぎると上達を妨げるのですが、それでもなお非常に有用なアプリです。
チューナー、メトロノーム
チューナーとメトロノーム両方の機能を備えたものとしてSoundcorsetを使っています。
ただし無料アプリだけあってたまに動作が不安定なことがあります(特にチューナー)。
そのためチューナー単体としてはTuner Liteをメインとして使っています。
Soundcorsetはメトロノームとチューナーの同時使用が可能で、音程の変化がきめ細かく折れ線グラフのように表示されていくという特徴があります。
一方Tuner Liteは一昔前にあったような針が物理的に動くチューナーを模した見た目になっており、針の動き自体も他のチューナーに比べるとアナログっぽいというか、少しファジーな表示の仕方をしてくれます。
チューナーとしての能力はSoundcorsetの方が鋭敏な印象ですが、そもそもチューナーは目視して音程を合わせるためのものではありませんから、どちらでも好みの方を使えばいいと思います。
耳コピアプリ
音程を変えずに曲の再生スピードを遅くしてくれるアプリもありますが、これはトランスクリプションの際にとても役立つはずです。
僕は使ったことがないので具体的には分かりませんが、最近はこういったものを駆使してトランスクリプションされる方もいるようです。
iPad(現行10.2インチ、32GB、Wi-Fiモデル)
そもそもスマホで十分じゃん!という方はそれでもいいでしょう。
最近はデカいスマホが主流ですし、大画面スマホを単体運用したい方はそれもありかと思います。
個人的には大きなスマホは持ちたくない派なので、やはり楽譜を表示したりするためにはタブレット端末を重宝します。
また大画面スマホ単体運用に比べるとバッテリーの心配も減ります。
しかしタブレットとはいえ、なぜこんなにも限定した書き方をするかというと、性能と価格のバランスからするとこのモデルが最もコスパが良いからです。
音楽メインで使うわけなので絵なんて描きませんし、カメラ性能にもこだわりません。
画質は上位モデルを横に置いて比較でもすれば差は出ますが、単体で使う分には全く困らないというかむしろ十分綺麗です。
A12 Bionicチップでサクサク動き、演奏やレッスンに使うことができればそれでいいのですからストレージも32GBのWi-Fiモデルで必要十分です。
これだけの性能で34800円(税別)ですからぼったくりで有名なアップル製品のクセして破格です。
強いてあげるならばストレージの小ささは少し心配になりますが、複数の無料オンラインストレージを活用することでカバーできます。
そもそも楽譜のデータ容量なんてたかが知れてますが。
番外編:iPod Classic
現在僕はトランスクリプションする際iPhoneを使っているのですが、iPod Classicを使っていた頃はこちらの方が使い勝手が良くて好きでした。
耳コピしているとごく短い同じ箇所を何度も何度も聞きなおすことがありますが、iPod Classicの物理ボタンは5秒単位の巻き戻しをしやすかったのです。
一方iPhoneはタッチパネルですが、巻き戻しボタンを長押しした時に数秒前まで戻るのが遅く、非常にいらいらします。
かといって巻き戻しボタンに頼らずシークバーを使って元の場所に戻ろうとすると、かなり細かい精度で親指を動かさねばならず、それもそれで大変です。
現行のiPod touchもスマホ同様タッチパネルですから使い勝手は変わらなさそうですが、iPhoneでの巻き戻し機能の改善なんてニッチすぎてアップルはしてくれないだろうな~。